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【トップ・スチュワーデス 禁色のスカーフ】 著:由紀かほる  ナレーション:藤色朔 / でじじ

小説
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午前零時になろうとしている満員のカウンターで、増尾亜衣は煙草に火をつけた。

体に悪いことなど分かっている。

ある務めを前にした自虐的な行為でもあった。

家には家族がいるが、スチュワーデスとして海外からのフライトを終えたあと、亜衣には、もう一つの務めがあった。

夫にはもちろん、誰にも内密の務めだった。

ある男の相手をしなければならなかった。

男は土建屋をしている辛島という中年だった。

半年前からの関係だった。

亜衣は、子の貴光の万引き事件を揉み消してもらう代償にソープランドで働いていた。

万引き現場を押さえた警備員が、ソープの女オーナーのヒモだったのが運のつきだった。

亜衣は自分を捨てて、現役スチュワーデスのソープ嬢として働いた。

弱みを握ったヒモが事故で倒れて、ようやく亜衣は解放された。

だが、ある日成田に降り立った亜衣の前に、常連客だった辛島が現れた。

「もう一度プレイをして欲しい。プライベートで。金はちゃんと払う」

それは懇願だった。

亜衣は断ったが、辛島は応じなかった。

亜衣の素性も調べ上げていたので、結局、従うより他になかった。

もっとも、辛島に亜衣の家庭を壊す意図はなかった。

お互いが、プレイ以外では社会人であることを認め合い、紳士的につき合ってきた。

そして、また月に一度だけの務めが始まる。

濃密な嗜虐と歓喜の時が・・・


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